6、とんだ迷い子

　娘が雨戸を閉めていたら、子猫の鳴き声がする。おやっ？とおもったら、キジトラの子猫がパニック状態！家の中を鳴きながら走り回って、娘のへやのラックの中、出窓の下の暗い所、廊下を行ったり来たり、猛スピードで、家人も捕まえられない。手が付けられない状態。私の足の上を走って、足のこうは、三本の引っ掻き傷ができてしまった。ミルクを入れてあげても、キャットフードを入れてあげても、出てこないで、興奮した声で鳴いている。とうとう冷蔵庫の後ろに挟まってしまったようで、お父さんに冷蔵庫を動かしてもらって救出した。それでも、興奮はおさまらず、困り果てた。我が家のネコたちも、なにが起きたのかわからず、声を合わせて鳴くネコもいれば、隅っこに隠れている子猫をのぞき込むネコもいて、あっけにとられている様子だった。
　どうも出口を探しているらしいということはわかったが、なかなか落ち着かないので、このまま明日まで、放っておくしかないかなと思っていたころ、出てきてまた走り出した。もう一度、玄関をあけておいたら、やっとで出ていったので、ほっとした。
　今までこんな興奮したネコとは、あまり接したことが無かったので、あせった。若いころ、麻酔が切れて、手術中に鉗子をつけたまま逃げ出したネコを追っかけたことがあったが、その時以来の緊張だった。それにしてもなにが起こったのだろうという感じだ。きょうは、縁側の戸を開けていたので、昼寝でもしていたのかな？目が覚めたら、知らない家にいたのでパニックになったのかな？それにしてもとんだ迷い子だった。

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